「1円でも報酬を受け取ったら、それはプロだ」
ずいぶん昔、まだ報道の仕事をしていた時に、当時の編集長から言われた言葉です。
まだJリーグが出来たばかりの頃、周囲はサッカーブームで、選手は誰しもスター扱い、1億円プレーヤーもゴロゴロいた時代です。
当時の私は、まだ本当に若く(笑)、さらにきつい仕事のわりに、お給料は微々たるものでした。(生活できないくらい…)
でも、好きで飛び込んだ世界(報道とサッカー)だったので、とにかく必死でついていこうとしました。
プレーヤーの経験もない、ド素人。
報道の何たるかもわからない、名刺の渡し方も知らない小娘でした(笑)
かたや年間1億円、かたや月収○万…。
このギャップに、私はビビっていました。
とても同じ土俵で仕事ができるとは思えない。
なめられてるに決まってる。(こっちは女だし)
そんな中で、浮足立っている自分の仕事っぷりを見た編集長が放った言葉が、それでした。
「1円でも報酬をもらったら、プロ。プロの仕事をしなさい」と。
「だったらもっと給料上げてよ(;一_一)」
って心の中で思いましたが(笑)、でも、その通りだと思って、納得したのを覚えています。
そこから、自分の考え方は180度変わりました。
プライドを持とう。自分の仕事に責任を持とう。
同じ1人の人間、対等の立場で話せるように、努力しよう。
それが、私の「仕事」に対しての考え方のベースになりました。
なぜ、いまさらそんな大昔の話をするかというと……。。。
私の職場(サッカーとは別の)はパソコンの業務が主なのですが、
まったくパソコン(MacもWindowsも)が出来ない人間が、配属されてきました。
まわりの同僚たちは、みんな独学なり学校に通って、勉強をしていきている人間ばかりです。
その中で、Macの知識も経験もない、自主性もない、言われた事を言われたようにしかできない(応用がきかない)、マニュアル通りの仕事しかできない人が入ってくると、非常に目立ちます。
出来ないのは、仕方がない事です。
誰しも、初めてがあります。
ですが、
仕事をしに会社にきているのです。
勉強をしてお金をもらえる会社などありません。
だったら、そういう学校に通えばよいことです。
仕事帰りにパソコン教室に行く事も、土日に通うことも可能でしょう。
もう1ヶ月以上も、会社に来て、パソコンの前でマニュアル本を読んでいるだけ。
業務には一切かかわらない。
生産性ゼロ。
それでも、会社はお給料を払っているのです。
お給料をもらうのであれば、それに見合った「生産性」がなけれないけません。
それを自覚していない人間と一緒に働くのは、とてもギャップがあって、日々、悶々と過ごしています。
自分が経営者ではないので、関係ない事なのですが、
毎朝の朝礼で
「今月の売上が○○円で、経費や値引きで実質○○円しか純利益がなくて、過去最低の数字」
だとか言われ続けると、
じゃあ、この無駄な人件費は何なの?
と思ってしまう。
厳しい世界で仕事をしてきた自分と、世の中の普通の会社とのギャップが、また最近、ふつふつとわきあがってしまって、日々、葛藤しています。
プロの世界では、
試合に出られなかったら、次の年の契約は白紙。
自分で次のチームを探すもの、引退して新しい人生を歩むもの、
決して楽な道はありません。
そういう世界を見てきて、そういう人たちと接して、自分も厳しさの中で生きてきていると、
今の自分の環境が、ぬるま湯すぎて、どうしても苦しくなる時があります。
人それぞれ、能力の差があるので、仕方ない事もありますが……。。。
まあ、そんなこんなで、
最近、また「高い場所」が恋しくなってきてしまいました(苦笑)
今年は、エコパでの国際Aマッチの開催はないようですが、
あの中で、自分を磨きたい。
秒刻みの、失敗は許されない世界に身を置いてみたい。
そう思うようになりました。
昔のように、体は動かないかもしれないけど(笑)
もちろん、今現在継続しているサッカーでの仕事も、もっと完成度を上げなければいけないし、
ミスを減らさないといけない。
それはこのまま継続して努力したいし、するとして、
あの満員のスタジアムの、ピッチの最先端で、国歌を聞きたい。
あの緊張感、高揚感、自分の手にある一本のロープの感触、芝生の感触を、もう一度味わいたい。
完全なる裏方のお仕事ですけどね(笑)
その時にピッチの真ん中に、
静岡のレフェリーがいたら、最高。
代表に、静岡の子たちがいたら、本当に最高。
そんなふうになりたい。
そんな仕事をしたい、と改めて思ったわけでした(^^ゞ
自分は、やっぱりプロフェッショナルに近づきたい。